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カバンの中にはサリンジャーと、ギャツビーと、

姉ちゃんの詩集

これだけでもちょっと若作りをした気になれます(ぉ

これまででのエントリーでもちょっとずつ触れさせていただいていた姉ポエム(→まとめサイト)(2007/1/1 移転につきリンク先変更)が、ついに発売となりました。
相当な突貫作業で出荷もスムーズではなかったみたいで、発売日から1日遅れて大阪なんばウォーク端のブックファーストで購入。

先のエントリーで、こんな知った風な記述をしたわけですが、

眩しく跳びはねる言葉たちがブラウザから本にテレポートした時、何が変わるのか、何も変わらないのか、見るのが楽しみです。

蓋を開けてみたら、変わるも何もほぼまーったく違う作品として出来上がっていました。

上記まとめサイトの過去ログは、サマーさんの放つ眩しい言葉のかけらと、それを全力で受け止めて、それこそ箸がころげてもおかしいようなデコレーションで盛り合わせる人たちの共同作業を見て楽しむものだったと思います。
本になることによってそれら第三者の助力がなくなり、サマーさんと1対1で向き合って話をすることを余儀なくされます。

というか、そのような本に仕上がっています。
過去ログの大勢の人たちによる面白おかしいコメントは一切なし、各詩はほとんどが1ページ以内で収まる分量、長くても見開き2ページ、平松禎史さんによる(この方をよく知らないのですが)挿画も、詩のページとは独立して1ページあるだけ(そしてこれがまた良い)、
ほとんどが文字と余白だけの、「ごくまともな」詩集です。

サマーさんの詩がネット(例の超巨大掲示板^^;を発端として、さまざまなブログで)で支持されたのは、その常軌を逸した言葉感覚や、あまりに異常な脈絡のなさ故だったのですが、
たとえばこの方が指摘なさるように、誰かが補足してくれる、ないしヒントを与えてくれる場でないと、そのパンチ力はいまいち生かされないかな、というのは本を読んでて正直思いましたし、そのような「壊れた面白さ」は、インターネット上だからこそ映えるのかなということも思いました。
ただ逆に、そのような「異常な」詩にまぎれてぽつぽつ存在する「普通の」詩(まとめサイトから読めるのは「走る」とか)は、本の方がノイズがない分よりクリアになりますね。
じゃあそっちの方は異常じゃないから面白くないのか、というと、(少なくとも僕には)とんでもない。まるで篠原美也子さんの曲(具体的に言うと「尽きせぬ想い」"flower"あたり)のような真摯さ、まっすぐさ、ちょっぴりの照れ、そして静かな熱さがびしびし伝わってきます。

また、この詩集に関して多くの方が「姉の詩集を無断でネットにさらす弟の行動はどうなのか」とおっしゃっているんですが(まあ当然ですね)、ネットの過去ログを読んでいる分には、それに対する後ろめたさというか、「弟の行動は問題だ」という感覚は起こってこないんですね。
(ネット上のコンテンツって、「いったん公開した物はあくまでパブリックだ」という考え方が主流で、僕もその考えに賛成であるというところが大きいのでしょうけど)
でも、ブラウザを見ずに本だけを静かに読んでいると、


「これは・・・他人が勝手に見ちゃいけない物を覗いているんじゃないか」
「この弟さんがやったことって、実は、取り返しのつかないことなんじゃないか」
「これなら、日記をさらす方がまだ許されるかも」


という、もはや罪悪感が、今更、本当に今更ですが、喉元にこみ上げてきて、じわじわ
じわじわじわじわくすぐられてしまいます。
この感覚はまさしく、ネットの過去ログにはなくて、本からだけ得られる醍醐味(おい!)でしょう。

あんまり長くなるのも何なので、以下、この本から、僕が好きだと思った詩を、好きな順(5つめぐらいから順不同^^;)に挙げて締めたいと思います。
まとめサイトから読める詩にはまとめサイトへのリンクをつけておきますので、各自お読みの上、いいなと思ったら過去ログを最初から読むなり、本を買うなりなさってみてください。
#繰り返しになりますが、過去ログと本は全く別個の作品と思った方がよいです。
#ある意味、「1粒で2度おいしい」作品かもしれません。

「1学期終業式」
「走る」
「閣下」
「みつあみ」
「しずか」
「ラブティーチャー」
「生きる」
「おやすみなさい」
「にぽ」
「おちるまえ」
「心の中の」
「カメレオン」
「間」
「よろい」
「ひとり」 「あかおにへ」  ←ふたつでひとつ♪
「出前ピッザ・チッチョリーナ」
「就職」
「海の見える教室」

by maple-spica | 2006-12-23 11:49  

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